賃料不払いや用法遵守義務違反については、それらの義務違反が認められるからといって直ちに契約を解除することはできません。
「賃料を支払って下さい」、「正しい方法で利用して下さい」と賃借人に対して催告をすることが必要です。そして、催告後相当な期間が経過したにもかかわらず、賃借人が態度を改めないような場合に契約を解除できるのです(民法541条)。
すなわち、解約するためにはこれらの義務違反に加えて、催告と相当期間の経過、信頼関係を破壊するほどの背信性という要件を満たすことが必要というわけです。
もっとも、賃貸借契約の継続を困難とするほど信頼関係の破壊が著しい場合は、催告なしで直ちに解除することができます。これを無催告解除といいます。
なお、契約に無催告解除の特約がついていることがあります。この場合でも、ささいな義務違反によりただちに無催告解除できるわけではありません。
義務違反に加え、無催告解除しても不合理とはいえないほどの背信性を基礎付ける事情がある場合に無催告解除ができると最高裁は考えています。