賃貸借契約は、賃貸人が賃借人に物を使用・収益させることを約束し、賃借人が賃貸人に賃料を支払うことを約束することで成立します(民法601条)。これを諾成契約といいます。
契約というと皆さんは相当大がかりなものを想像されると思います。しかし、民法が賃貸借契約の成立について、意思表示の合致だけで契約は成立するとしている以上、理論上は口約束によっても契約は成立するのです。
もっとも、実際はそんなに単純には判断されません。
どの相手方と、どのような内容の賃貸借契約を、締結しようとする合意があったかどうか。が重要です。
これは単に、目の前にいる相手と「この建物を貸してあげるよ」と言えばその時点で契約が成立するというような形式的な判断がなされるものではありません。
当事者は誰と契約を締結するつもりだったか、どの時点で成立させるつもりだったか、当事者の意思を実質的に判断することが重要です。
これだけではわかりにくいと思います。以下、具体的に検討していきます。