契約期間を満了しても、賃貸借契約を更新することはよくあることです。

もっとも、建物所有目的ないし借家の賃貸借契約については賃借人の地位を保護する趣旨から、借地借家法が普通借地権・借家権については原則として更新される制度を規定しています。

借地では、賃借人が契約の更新を請求又は使用を継続したときに賃貸人が解約するには、正当事由のある異議を述べることが必要です(借地借家法5条、6条)。

借家では、期間の定めがある場合、期間満了の1年前から6ヶ月前に正当事由のある通知が必要です(借地借家法26、28条)。
期間の定めがない場合、解約の申し入れの日から6ヶ月の経過と正当事由が必要です(借地借家法27、28条)。

このように、賃貸人が更新拒絶するためには、正当事由が必要となります。

この正当事由の有無を判断するための基準は、借地借家法に規定されています。

同6条は、借地について「借地権設定者及び借地権者(転借地権者を含む。以下この条において同じ。)が土地の使用を必要とする事情のほか、借地に関する従前の経過及び土地の利用状況並びに借地権設定者が土地の明渡しの条件として又は土地の明渡しと引換えに借地権者に対して財産上の給付をする旨の申出をした場合におけるその申出を考慮して、正当の事由があると認められる場合でなければ、述べることができない。」と規定しています。

同28条は借家について「建物の賃貸人による第二十六条第一項の通知又は建物の賃貸借の解約の申入れは、建物の賃貸人及び賃借人(転借人を含む。以下この条において同じ。)が建物の使用を必要とする事情のほか、建物の賃貸借に関する従前の経過、建物の利用状況及び建物の現況並びに建物の賃貸人が建物の明渡しの条件として又は建物の明渡しと引換えに建物の賃借人に対して財産上の給付をする旨の申出をした場合におけるその申出を考慮して、正当の事由があると認められる場合でなければ、することができない。」と規定しています。

太字で規定されている要素が、正当事由の有無を判断する上での判断材料となるのです。

以下、具体的に検討します。

正当事由を肯定する事情

・賃貸人やその親族の生活・営業といった使用の必要性
・建物の老朽化、取り壊しや立て替えの必要性
・賃貸借契約成立後の事情(賃料不払い等債務不履行となる事情、不法行為など)
・敷地利用の必要性
・立退料の提供

正当事由を否定する事情

・賃借人・同居人・転借人の使用の必要性
・賃貸借契約成立後の事情(債務不履行となる事情がないことなど)
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